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2011年5月 5日

レントゲン写真撮影の必要性

001歯科治療を行う前の診査・診断にレントゲン写真撮影が必要となりますが、原発の問題が出てからあらゆるメディアで胃のX線写真と比較して各地の放射線量が公開されています。分かりやすい点もありますが、いかにも「原発からの放射線量はレントゲン撮影時よりも少ないので安心して下さい」的な使われ方をするのは医療を行う私たちにとってあまりいい印象を受けません。
 少しでも患者さんの歯の保存に努めたいと思い治療にあたっていますが、ムシ歯や歯周病の状態をレントゲン写真撮影なしで見た目だけで診断するのはかえって危険です。逆に治せる歯が治らず、残せる歯も残せなくなってしまう可能性があります。
 上にX線写真を添付しましたが、初診時の矢印の歯はムシ歯が大きく歯周病が進み、歯ぐきから膿も出ており、かなりぐらぐらな状態でした。見た目では残すのは厳しい状態でしたが、レントゲンを撮り、残せる可能性があると判断し治療を進めていきました。現在治療が終わってから3年が経過していますが、歯周ポケットは正常にもどり、歯を支える骨が安定し、お口の中で活躍中です。
 歯科で使用するX線写真は撮影するときだけごく限られた範囲にのみ放射線(X線)を出すもので、撮影時には必ず鉛入りの防護服を装着して撮影します。特に一部の歯を撮るデンタルX線写真の場合は胃のX線写真と比べて約60分の1以下ですので(自分で言っておきながら比較してしまいましたが。医科の先生方すいません。)、撮影しないで治療を行うリスクの方がはるかに高いといえます。原発から出された放射性物質のように常にスイッチが入った状態で放射線を出し続けている訳ではないのでご安心を。当然医療従事者として必要最小限に使用していくことは肝に命じなければなりませんが。

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