サブ3と言われてもマラソンの経験がない方は意味不明な用語かと思います。サブ3とは「Sub-three-hours」、つまりフルマラソン(42.195km)を3時間以内で走りきることです。1kmを4分15秒以内のペースで走りつづけることができれば達成可能ですが、全ランナーの3%しか切ることのできないとても高いハードルです。
そもそも自分がマラソンをはじめたきっかけは、職業病とも言える腰痛に悩まされていたこと、10kg近い体重の増加、そして所属していた勉強会の先生方がマラソンをされていたことにはじまります。真似から始まったマラソンですが、歯周病の患者さんがブラッシングで劇的に口腔内が改善されてくるのと同様に、走るたびに変化する自分に達成感を味わい、それが継続するきっかけとなりました。
2年前には夢のサブ3を達成。しかしその喜びもつかの間、昨年突如顔面神経麻痺を発症し、暫く走ることから遠ざかっていました。幸い目の周囲や頬粘膜の痺れは残ったものの、外見は改善したこともあり、「もう一度サブ3を!」と思いから半年前から水戸黄門漫遊マラソンに向けての準備がはじまりました。
今回のマラソンでは最後の5kmはもう何も残っていないほどメンタル的には一番苦しい大会となりましたが、終わってみれば2時間59分49秒。あと11秒で3時間というギリギリのタイムでしたが、なんとかサブ3を達成することができました。
マラソンは自分の身体を42.195km運ぶというシンプルな競技でありながら、世界のトップ選手でも2時間以上は走り続けねばならない過酷なレースです。1kmの積み重ねが結果となってあらわれます。1歯単位の治療から全顎の治療、そして術後の長期にわたる経過観察など、まさに日々の歯科臨床と通じるものがあります。
体力的にはサブ3の継続は困難ですが、臨床では夢であってはいけません。現実として達成し続けられるよう精進していきたいと思っています。